フィリピン留学に行こうと決めた時、最初に頭を悩ませるのが「どこの留学エージェントを使おうか」という点です。留学は人生で一度きりの学生も多く、“留学エージェント”とはあまり聞きなれない存在です。
留学エージェント(留学代理店)とは… 留学のための学校選びや現地生活の情報提供や相談、学校の入学手続きや航空券、海外保険の手配などのサポートを行っている会社です。顧客に旅行プランを提案し新幹線やホテルの手配を行う旅行代理店(例:JTBなど)の留学バージョンと考えると分かりやすいでしょう。
しかし、留学エージェントについて調べていくと
- 利用すると余計に費用がかかるようだ
- エージェントを利用した人で後悔している人がいる
- エージェントを利用しなくても留学できるようだ
という情報も出てきて、留学エージェントを利用すべきか、利用せずに自力で準備すべきか迷っている人も大勢いることでしょう。
フィリピン留学はエージェントを使わなくても行くことは可能です。
留学エージェントを利用するか否かによって、それぞれメリット・デメリットがあります。また、留学エージェントは数多く存在していますが、サービス内容や質もピンからキリまであるため、一概に「エージェントを利用するとよい」「エージェントを利用しない方がよい」とは言えません。
ただし、下手な留学エージェントさえ避けることができれば、確実に留学エージェントは利用した方がメリットが大きいのは事実です。
1. 留学エージェントなしでフィリピン留学を行うメリット
留学エージェントを利用せず、自ら語学学校を調べ申し込み、航空券などの手配も行うなどして留学に行くことは可能です。留学エージェントを使わずにフィリピン留学を行う場合は下記のようなメリットがあります。
- エージェントが取り扱っていない学校を選ぶことができる
- 酷い留学エージェントを使って被害を受けることがない
- サポート手数料が取られる心配がない
学校の選択肢が増えて、余計な費用もかからないのは大きなメリットに感じます。しかし、その詳細を知ると少し見方も変わってくるかもしれません。
1-1. エージェントが取り扱いしていない学校を選ぶことができる
フィリピン留学では、フィリピン全土に大小合わせて100を超える学校があると言われています。コロナ禍の影響でその数は減りましたが、それでもかなり多くの学校があります。その中には留学エージェントに取り扱ってもらう契約を行っていない学校があります。例えば、個人で経営している塾のような規模の学校や、新しくできたばかりの学校が代表的です。
小規模な学校は留学エージェントに取り扱ってもらうことはせず、自社WEBやブログ、SNSを使う形で学生数が少ない故に十分な人数を集めることができることがあります。また、留学エージェントを使うことによって、学校の利益が減ることを嫌って自力で販売を行っていることもあります。
また、留学エージェントは、どのような学校でも取り扱いを行うという判断はしません。極端な話、政府から許可を得ていないで違法で運営している学校もありますから、まともな留学エージェントであれば学校の運営実態や評判をよく調査して取り扱いを決めます。また、新しい学校は情報が少ないため、取り扱いに慎重になることもあります。
これらの理由から、留学エージェントが取り扱っていない学校が存在しており、その学校に入学したい場合は、留学エージェントを利用せずに自分で手配するしかないありません。
1-2. 酷い留学エージェントを使って被害を受けることがない
留学エージェントによっては、学生のためにならないカウンセリングを行ってくる会社も存在しています。
- 特定の都市(例:セブ)しか勧めなかったり、情報がない。
- 学生の希望を無視してエージェントの勧めたい学校を勧めてくる
- 申し込みを急かすあまり心配事に答えてくれない
- 学校や英語教育、現地生活についての基本知識がない
このように留学エージェントによっては、留学カウンセリングとは名ばかりでただセールスしかしないこともあります。最悪なのは学生にとって迷惑でしかない嘘をつく行為もあります。
また、申し込む前は親身にいろいろと話を聞いてくれたが、申し込み後は返答が極端に遅くなったり適当になるなど、一気に冷たい対応になるという話もあります。
残念ながら、このような酷い留学エージェントは少なからず存在します。
運悪くそのような留学エージェントを利用してしまうと、説明されたこととと実際の話が違い過ぎるといった具合に留学のそのものの満足度が下がってしまうこともあります。それならば、留学エージェントを使わずに行った方がよかった!と怒ってしまうのは無理もないことです。
一方で学生さんの目線でしっかり留学相談を行い、留学が終わるまで安心できるサポートをしてくれるエージェントも多いのも事実なので、不安に感じた際は思い切って他の留学エージェントを使うのがよいでしょう。
1-3. 手数料が取られる心配がない
古くから留学業界では、サポート手数料や手配料といった名目で、サポートを行ったことに対する対価を求めるのが当たり前でした。これ自体は、納得の上で支払う分には何も悪いことではありません。一方でフィリピン留学のエージェントは基本的にサポート料を無料としている会社が多くなっています。これは、入学が決まった場合に学校側から支払われる斡旋料のみで運営し、学生へのサポートは無料としているためです。
今でもサポートに対して費用がかかる留学エージェントも多いです。大手のエージェントに多いのですが、広告で目立つために最初に問い合わせしやすいのですが、そのようなエージェントに問い合わせてしまうと、サポートには費用が必要なものだと思い込んでしまうことになります。
サポート料金が無料と謳っているエージェントでも注意は必要です。実際は見えないところでサポート料が発生しているのと変わらない費用になっているのです。具体的には学校以外の下記の手配をエージェントに依頼した場合です。
- 航空券
- 海外旅行保険
学校の入学手続きと一緒に、この2つの手配を半強制的にエージェントが手配する形 (セット販売)になっている時は注意が必要です。この場合は航空券や保険代金が相場よりもかなり高い値付けになっており、結果的にトータルの留学費用が高くなってしまう罠があります。もちろん、学生が手間を省くためにエージェントに手配を依頼し、提示された価格に納得した場合は別ですが、学生自身で航空券を探したり、保険を手配することを拒んでくるようなエージェントには注意が必要です。
事前に「航空券や保険は自分で手配してもいいですか?」とか、「エージェントの見積もりが高ければ自分で探していいですか?」など、確認すれば簡単に分かります。要チェックポイントとしてください。
2. エージェントなしでフィリピン留学に行くデメリット
留学エージェントをなしにフィリピン留学に行った場合、どのようなデメリットが存在するでしょうか。
- 留学エージェントを使わないと入学できない学校がある
- 自分に向いている学校を探し出さないといけない
- 留学の準備を全て自分で行わないといけない
- 学校とトラブルになった時に全て自分で対応しないといけない
2-1. 留学エージェントを使わないと入学できない学校がある
学校を探していざ問い合わせすると、「留学エージェントを通してください」と回答される学校は意外と多いです。このような学校は多く、エージェントを絶対に使わないという考えであれば、結構な数の学校が選択肢から消えてしまうことになります。
これは学校が直接問い合わせや申し込みの応対を行うと、学校はそのための職員や窓口を用意しておかなければなりません。学校はこれらのカウンセリングやサポートを留学エージェントに外注していることが多く、窓口が留学エージェントしかないという学校が多い理由になります。
窓口を外注しているか否かは、学校の品質に関わる問題ではありません。そのため、エージェントを使わない判断故に、品質に優れる多くの学校を選択肢から外してしまうのはもったいないことです。
2-2. 自分に向いている学校を探し出さないといけない
学校は100を超える数があり、どの学校もパンフレットやWEBページを見ても、良いことしか書かれていません。講師のレベルもどこも自信満々、設備も綺麗そうといった感じで紹介されています。ネットでブログでSNSなど個人の体験を調べても、それが学校全体の特徴と言えるのか、それともたまたまその人のケースがそうだったのか、その人がそう感じただけで他の人たちもそう思っているのか。参考にはなりますが、膨大な情報から取捨選択して一つの学校を選び出すのは、時間と苦労がかかります。
しっかりした留学エージェントは、学校を訪問して取材していたり、卒業生からフォードバックを集めたり、業界内の交流でも情報交換をしています。これにより、学校のメリットとデメリットを把握しており、どのような学生に向いているのか、ミスマッチが起こりやすいポイントなどについても把握しています。
そのため、要望を伝えるだけで、その希望に沿った学校をいくつか提案して説明してくれますし、気の利くカウンセラーになると、学生が見えていなかったところまで先回りして、当初イメージしていた学校よりもさらに理想的な学校を提案してくれることもします。
留学エージェントの大きな役割は学生と学校のよりよいマッチングを行うことであり、学校選びの時間を大幅に削減することができる点と言えます。
2-3. 留学の準備を全て自分で行わないといけない
留学の準備は多岐に渡り、代表的なものは下記の通りです。自力で準備するという場合は、これらをすべて勉強する必要があります。また勘違いして行えば、留学に支障が出たり、お金を損してしまうことも起こり得ます。
航空券や海外旅行保険の手配
留学時にはどのような航空券を準備しなければならないか、長期渡航での海外旅行保険はどのような補償内容が望ましいかなど、一般の短期の海外旅行に比べて考慮すべきことが多くなります。
学費の国際送金
初めての方ですと銀行での書類作成も記入項目が多く戸惑いますし、万が一送金トラブルが発生した場合の解決も難しいです。日本の銀行でも国際送金に対しては犯罪防止のために追加書類の提出を求められたりする場合があり、これらに対応しなければなりません。
持ち物、両替やスマホのSIMなどの現地情報
準備をしていると「日本で両替して行けばいいの?」「私のスマホは現地でも使えるの?」など、色々と疑問は出てきます。留学経験者であれば特に難しいことはありませんが、留学は人生で一度きりという方が大半を占めており、初海外という人もいて、不安も大きくなります。
渡航制限や入国情報
新型コロナのような渡航制限がかかっている場合に自力で現地の情報を集めるのは至難の業です。渡航先の信頼できる情報(政府発表等)は原則英語で書かれています。
これらは留学エージェントからすれば、知っていて当たり前の情報のため、エージェントを利用していれば時間を浪費せずに簡単に解決できる話です。
2-4. 学校とトラブルになった時に全て自分で対応しないといけない
「問題のある先生を代えてくれない」「最初に聞いていた話と大きく違う」「部屋の備品が壊れている」など学校にコンプレイン(クレーム)を出した際に、学校が取り合ってくれなかったために学生と学校の間でトラブルになることが少なからずあります。
学校も個人相手ですと、規約を盾にして杓子定規な対応をしたり、学生にとって不利な対応をすることがあります。しかし、留学エージェントを利用していた場合はエージェントに相談すると事が好転することが起こります。エージェントが間に入って学校と交渉してくれたり、学校もエージェントとの今後の関係を壊したくないために歩み寄ってくれることがあるためです。
まとめ
留学エージェントを使わなくてもフィリピン留学に行くことはできますが、メリット・デメリットを考慮すると、エージェントを使わないことによって得られるメリットは正直あまり無いと思われる方が多いことでしょう。
大事なことは、誠実に対応してくれるエージェントを選ぶことです。問い合わせや相談に対して、不誠実な回答や、強引な営業をしてくるようなところを避けるだけで、嫌な思いをする可能性は極めて低くなります。エージェントの対応に違和感を覚えたら、それはあなたとのマッチングが悪いことの証拠です。遠慮せず別のエージェントに問い合わせをしてみましょう。
留学エージェントの存在意義は、有益な情報提供や手続きの簡略化などの付加価値にあります。ぜひ賢く使って、充実したフィリピン留学を実現してもらえたらと思います。