語学留学における学校選びで、どこの国の学生が何%の割合で在籍しているかという国籍比率は重要なポイントとされ、「日本人が少ない学校に行きたい」というご相談をよく受けることがあります。
日本人が多いと英語が伸びない
英語だけで生活しないと英語は伸びない
このような考えは古くから当然のごとく言われてきました。しかし、フィリピン留学においては、そうとも言い切れない部分があり、あらぬ落とし穴になる場合があることは、あまり知られていません。
この記事では、日本人が少ない学校で起こりうる現象と、英語力への影響について解説していきます。
1. 日本人が少ない学校は英語環境というのは間違い
欧米留学の場合は、世界中から幅広い国籍の学生が集ってきます。語学留学を行うのは母国語が英語ではない国の人たちですから、アジア以外にも東欧、南米、中東など様々な国籍の学生がいます。様々な国籍の学生が少数づつ集まる学校では、共通言語として英語を用いる空気が作り上げられています。
しかし、いずれかの国籍の学生が増えると、学校内でその国の言葉が多く利用されることに繋がり、英語を共通言語として使う空気が失われてしまいます。そのため、昔から欧米留学では「国籍バランスが良い」ことが重視されてました。つまり、日本人も、韓国人も、ブラジル人も、ポーランド人も…様々な国の学生が在籍し、みんな等しく少ない状態が理想とされ、人気のある語学学校は国籍バランスが良くなるように工夫していました。このことから分かるように、日本人が少ないだけではなく、どの国籍もバランスよく適度に少ないことが英語環境を作るために重要なわけです。
一方、フィリピン留学における国籍バランスはどのようなものでしょうか。ほとんど学校で日本、もしくは韓国人に比率が偏っています。近年は台湾やベトナム、中東などの学生が増えてはいますが、多くの学校でまだ日本や韓国人がまとまった人数(6~7割以上)いる状況です。
特定の国籍の人がまとまった人数集まると、どうしても母国語を使う機会が多くなってしまいます。例えば、日本人30%、韓国人30%、台湾人30%の定員100名の学校があったとします。この場合、日本語、韓国語、中国語が飛び交う環境になるだけで、EOP(English only Policy)などで強制されない限り英語環境になることはありません。
そのため、日本人が少ない学校を目指したが故に、周りは韓国人学生ばかりになってしまい、レッスンが終わると英語環境どころか韓国語環境になってしまったというのはフィリピン留学ではよく聞く話です。
これは、フィリピン留学が欧米留学に比べて、中東や南米、東欧ではまだまだマイナーな存在であることが原因と言えます。将来的にそれらの国からの学生が増えていけば、フィリピン留学でもバランスのよい国籍比率を実現できるようになりますが、まだまだ先の話になりそうです。
2. レッスンと自習で英語漬けにはなる
欧米留学の語学学校では1日4時間程度のしかレッスンがありません。つまり、放課後は英語を使う環境を確保しなければ、たった4時間しか英語に触れることがありません。一方、フィリピン留学は1日平均で8時間ほどのレッスンがあり、それらの復習を含めると平日は10時間程度は英語に触れなければならなくなります。
欧米留学は英語環境に身を置くこと、海外で暮らすという経験にウェイトを置いています。一方、フィリピン留学は”英語強化合宿”の趣が強く、勉強にウェイトを置いています。英語を実践的な場で使うことも大事ですが、それ以前にインプットを増やし、アウトプットのトレーニングを行うことを学校で完結することがフィリピン留学のコンセプトです。
英語への触れ方は違いますが、より多くの英語に触れる=英語漬けになるのは、案外フィリピン留学かもしれません。
3.日本語を話すことで学習効率は上がる
日本人は「良薬口に苦し」が正しいことと考える人が多く、辛い環境の方が英語力は伸びると考えがちです。もちろん、甘くて勉強から離れてしまう環境では英語は伸びませんが、何ヶ月も続く留学生活が辛く厳しいことの連続だった場合、どれだけの人がそのストイックな生活を続けることができるでしょうか。
よく日本人がいなければ英語を話すと考える人が多いですが、実際は「日本人がいなければ話すことをやめる」という行動に出る人がいます。自由に英語を使えない学習者が英語で会話をするのは、それだけ精神的・体力的ストレスがかかる行為です。無理をすれば「達成感」は得られるかもしれませんが苦労に見合った成果が上がらないといったことも起こりえます。
そのため、英語にとことん向き合う時、母国語でリラックスする時といった具合にON/OFF切り替えて生活するのが理想的です。フィリピン留学は授業数がとても多いため、自習を含めてしっかり英語学習と向き合うことに力を注げば、休憩や休日に日本人同士で大いに母国語でコミュニケーションをすることに何ら問題はありません。
4. 日本人が少ない=日本人の要望は聞かないの意味
10年以上昔は、フィリピン留学に訪れる学生は、ほとんどが韓国人でした。少数の日本人学生はいましたが、連日の辛い韓国料理に食欲を失い、韓国語で案内される掲示板を前に呆然とし、学校に要望を伝えても滅多に通らないというのがよくある話でした。
日本でのフィリピン留学ブームに火がついた頃から、各語学学校はより多くの日本人に入学してもらえるよう、食事を改善し、日本人スタッフを採用するなど努力をしてきました。今では日本人が一定数いる学校では、昔のように日本人にとって居心地の悪い場所ではなくなっています。
しかし、今でも日本人学生が極めて低い学校は、まだまだ多数派となる国籍の学生に向けたサービスになっていることが多いです。数人しかいない日本人学生のために、日本食は作りませんし、日本人スタッフを採用しないのは仕方がないことです。
このように日本人が増えることは、学校内での日本人の要望が通るということに繋がってきたという現実があります。欧米の学校は授業のみの提供のため、要望が通るか否かはさほど大きな問題ではありません。フィリピン留学は全寮制です。毎日の生活が学校内となるため、日本人の声を聞き、その感性に合わせたサービスに改善されていっているかどうかは、快適性を大きく左右することになる訳です。
そうは言っても様々な国の人と交流したい!
外国籍の人が多い環境を希望するのは、英語学習面だけではないことでしょう。
日本人が少ない学校に行った卒業生が必ず口にすることに「日本人というだけで人気が出る」というものがあります。日本人が少ない環境であれば、「日本人と話してみたい」「友達になりたい」という韓国人や台湾人の学生と出会う確率は格段に上がるからです。
異文化交流という点では、外国人が多いこと、様々な国籍の学生がいることはメリットになります。異文化交流のためにも国籍比率は気にしたいという方は、日本人が少ないことだけに注目するのではなく、様々な国籍の学生がいることを重視した方が目的にあった選択ができることでしょう。
「私は英語ばかり使う環境に身を置きたい!」という方は、国籍比率を気にするよりも厳しいEOP(English only Policy)が実施されている学校を選んだ方が英語を使う機会は多くなることでしょう。
フィリピン留学における国籍比率についていかがだったでしょうか。
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