留学費用において学費、航空券に次いで大きな出費になるのが海外旅行保険です。万が一の場合に備えて必ず加入して欲しいものですが、3ヶ月以内の短期留学であれば、なんと0円で加入できる海外旅行保険はあります。さらにタダの保険でも補償額をより充実させる裏技もあります。
※保険によって内容・規則は異なります。この記事の内容はすべてを網羅したものではないため、必ずご利用の保険会社の規約をご確認ください。
クレジットカード付帯保険はタダで使える
クレジットカードには会員に対するサービスとして海外旅行保険がついてくることがあります。この保険は一定条件のもとでは何度でも無料で利用できるため、保険のためにクレジットカードを所持する価値すらあるほどです。
ただし、いくつか注意が必要です。
利用条件
カード会員であれば保険が利用できる「自動付帯」と、旅費の一部 (公共交通機関の運賃など)をカード払いにする必要がある「利用付帯」の場合があります。
保険の有効期間
一般に出国から帰国まで90日以内とするカード会社が多いですが、30日以内とするカード会社もあるので事前に確認が必要です。
欠点は補償額が低いこと
欠点は補償額が心もとないことです。下記は、一般的なクレジットカードの保険と海外渡航の都度加入するタイプの保険(最低価格レベルのパックプラン)の補償額の比較です。
保険項目 | クレジットカード保険 | 都度加入タイプ保険 |
---|---|---|
傷害死亡・後遺障害 | 2,000万円 | 2,000万円 |
疾病治療 | 200万円 | 1,000万円 |
傷害治療 | 200万円 | 1,000万円 |
携行品損害 | 20万円 | 30万円 |
賠償責任 | 2,000万円 | 1億円 |
救援者費用 | 200万円 | 1,000万円 |
疾病治療(病気の治療)や傷害治療(怪我の治療)や賠償責任で大きな差があります。上記のクレジットカードは、通院治療や数日の入院程度のケースにおいてはカバーできますが、長期入院や手術、多額の賠償などのケースを想定すると不安が残ります。
可能性が低いとは言え、そのようなことが起きてしまったら保険でカバーでしきれず多額の出費が強いられることもありえます。特にアメリカなど欧米圏はびっくりするほど医療費が高いです。それに比べて医療費が安いフィリピンでも、外国人が納得するレベルの医療を受けようとすると明らかに高額です。
クレジットカードの補償内容で十分と判断するか否かはリスクに対する考え方により、これは自己責任で判断するしかありません。しかし、疾病治療が50万円程度しかないカードもあり、これではさすがにどの国に行っても不安でしょう。
“合算”という裏技がお勧め
1枚のクレジットカードの保険では心もとない補償額であっても、2つ以上の保険付きカードを所持していれば、補償額をより手厚くすることができます。補償額の多くは合算できるからです。
ちなみに、補償額の合算はクレジットカードの保険と都度加入タイプの保険でも可能です。
A. 補償額を合算できないもの | 傷害死亡、後遺障害 | 複数ある保険の内で、傷害死亡・後遺障害の補償額が最も高い金額が適用されます。例えば、傷害死亡が1,000万円と5,000万円の2つの海外旅行保険に加入していた場合、合算はできず金額が高い方の5,000万円までしか補償されません。 |
B. 補償額を合算できるもの | 疾病治療、傷害治療、賠償責任など A 以外 | 例えば、疾病治療の補償が200万円と300万円の2つの海外旅行保険に加入していた場合、合算して500万円までの疾病治療費が補償されます。 |
クレジットカードの保険を複数持っていた場合
下記の場合、「合算後の補償額=利用できる補償内容」となります。都度加入タイプの保険に比べると、重要度が高い疾病・傷害治療の項目でまだまだ弱いですが、かなり心強くはなりました。カードの枚数が増えれば、それだけ補償を手厚くすることができます。
保険項目 | カードAの補償額 | カードBの補償額 | 合算後の補償額 |
---|---|---|---|
傷害死亡・後遺障害 | 5,000万円 | 2,000万円 | 5,000万円 ※高い方が上限 |
疾病治療 | 300万円 | 200万円 | 500万円 |
傷害治療 | 300万円 | 200万円 | 500万円 |
携行品損害 | 30万円 | 20万円 | 50万円 |
賠償責任 | 3,000万円 | 2,000万円 | 5,000万円 |
救援者費用 | 200万円 | 200万円 | 400万円 |
ここで注意しなければならないのが、クレジットカードの保険は、「自動付帯」のものと「利用付帯」のものがある点です。利用付帯のものは出国までに利用可能な状態になるるよう考慮してください。
利用付帯のクレジットカードが複数あっても、すべて利用可能にすることが難しい場合がありますので、自動付帯のクレジットカードを組み合わせると良いでしょう。
年会費無料で保険が自動付帯するクレジットカード(例)
- エポスカード(2023年10月より利用付帯に変更)
- 学生専用ライフカード(18~25歳の学生)
※年会費有料のクレジットカードであれば、保険が自動付帯するカードは多数あります。
※2023年3月25日時点の情報です。
利用付帯のクレジットカードの使い方
カード会社によって規則は異なりますが、海外渡航で使用する下記の運賃をカード払いにすると保険が利用できるようになる場合が多いです。
- 航空券
- 空港までの電車賃やタクシー代など公共交通機関
例えば、1枚の自動付帯、2枚の利用付帯の3枚の保険付きカードを持っていたとします。下記の支払い各々のクレジットカードで行うことで3枚とも保険利用できるようになります。
- カードA (自動付帯):何もしないでOK
- カードB (利用付帯):航空券を購入
- カードC (利用付帯):空港までの電車賃支払い
ただし、楽天カード(一般カード)など一部のカード会社では、公共交通機関の支払いでは保険利用が認められないため、お持ちのカードの利用条件を必ず確認してください。
クレジットカードの申込みは注意が必要
保険付きクレジットカードが必要だからといって、同時期に複数枚を申し込むのはやめましょう。カード会社各社は顧客の信用情報を共用しているため、このような申込みを行うとどのカードも審査に落ちる可能性が高くなります。
※保険によって内容・規則は異なります。この記事の内容はすべてを網羅したものではないため、必ずご利用の保険会社の規約をご確認ください。
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