熱帯の国に行くとなると、感染症対策のために予防接種は必要か悩むのではないでしょうか。
熱帯雨林の中にある村といった上下水道や衛生環境が整っていない場所に行くのであれば、予防接種は行っておいた方がよいでしょう。
しかし、フィリピン留学において語学学校がある地域は人口が多い都市部であり、そこまで衛生面や医療面で高いリスクがある場所ではありません。
この記事ではフィリピン留学に行く人向けの予防接種の必要性と、気をつけるべき感染症について解説します。
1.予防接種して行く人はほとんどいない
留学目的でのみフィリピンを訪れる人は、ほぼ都市部と観光地での滞在となり、上下水道などのインフラ整備が遅れる農村部などに比べて感染症にかかるリスクは低いです。
- フィリピンに入国する際に必須になる予防接種はない(2023年10月現在)
- 予防接種を推奨している学校もほとんどない
これらのことから、日本で予防接種をしてフィリピン留学に向かう人は極めて少ないのが現状です。
2.予防接種を受けた方がよい人
何らかの理由で衛生的とは呼べない水道事情などインフラが整っていないような農村部や離島などへ出かけて生活する場合、またリスクをとにかく最小限にしたい場合は、念のため予防接種を検討されてもよいでしょう。
外務省及び厚生労働省が推奨している予防接種は下記の通りです。
予防接種名 | 感染経路 |
---|---|
成人 | |
A型肝炎 | 糞便から排泄されたウイルスが人の手を介して、飲食品を経て口に入ることで感染します。 |
B型肝炎 | 感染者との性行為やウイルスに汚染された医療器具の使用により感染します。 |
ポリオ | ウイルスが口に入り、腸の中で増殖することで感染します。ポリオウイルスは排泄物に含まれ、さらに他の人に感染します。主に乳幼児がかかることが多い病気です。 |
破傷風 | 怪我をした際に傷口から破傷風菌が体の中に入ります。 |
狂犬病*1 | 感染した動物の唾液にウイルスが含まれ、哺乳動物に咬まれたり、傷口や目、口の粘膜を舐められたりすることで感染します。 |
日本脳炎*2 | ウイルスは豚の体内で増殖し、蚊を介して豚から豚に、豚から人に感染します。 |
小児 | |
定期接種 | 日本で定められている定期接種は受けておく必要があります。 |
A型肝炎等 |
*2 農村部に長期滞在する場合に推奨される
注意:WHOが指定する黄熱流行国からの1歳以上の渡航者は、国際予防接種証明書を入国・トランジットの際に必要です。
感染リスク
いずれも感染リスク自体はそこまで高いものではありません。生活の仕方によってリスクを下げることは可能ですので、下記のことを心がけるようにしましょう。
- 衛生面で問題がある場所で食事をとらない(A型肝炎、ポリオ)
- 不特定多数との性交渉を避ける(B型肝炎)
- 動物に触れない(狂犬病)
- 蚊に刺されないようにする(日本脳炎)
厚生労働省検疫所「FORTH」、海外で健康に過ごすために。
厚生労働省検疫所「FORTH」、海外で健康に過ごすために。
予防接種を受ける方
予防接種は種類によって価格が異なりますが、1回あたり3,000~15,000円ほどかかり、さらに複数回の接種が必要なものもあります。すべてを完璧にするとかなりの出費となり現実的ではありません。
そのため、医師にご相談いただき、優先順位の高いものを接種するなどご判断ください。
3.予防接種はないが注意したい病気
デング熱
2014年に日本の公園で感染が発生したことにより話題となったデング熱ですが、フィリピンでは感染のリスクがあります。この感染症はデング熱ウィルスを持つ蚊に刺されることで発症します。38~40℃の発熱が起こり、頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹が現れます。通常3~5日程度で解熱します。
蚊が発生しやすい雨季に、特に地方都市を中心に感染数が増加します。蚊に刺されないことが感染リスクを下げることに繋がるため、虫除けスプレーの利用や、室内での防虫対策、自然豊かな環境に入る際は長袖を着るなど心がてください。
マラリア
マラリア原虫を有するか蚊に刺されることで、発熱や頭痛、関節痛などの症状が出ます。
マニラやセブなどの都市部ではほとんど発生していませんが、森林地帯や農村部に行くことがある場合は注意が必要です。蚊に刺されることで感染するリスクがあるため、対策はデング熱と同じです。また抗マラリア薬によって予防することも可能です(ただし、高価ななのが難点)。
4.必ず海外旅行保険に加入しよう
フィリピン入国自体に海外旅行保険は必須ではありません。しかし、病気や怪我はどんなに注意していても起こる時は起こりますし、過去に一度も病気や事故に遭ったことがない人でも、それが未来を保証するものには一切なりません。
外国人が利用する医療水準の病院は、一般的に高価であることが多く、物価が安いフィリピンであっても、入院や手術をすれば数十万円から百万円を超える医療費となることは珍しくありません。
また、保険に加入していないことから医療機関を訪れることを控えた結果、症状が悪化してより深刻かつ高額な医療費になることもあります。必ず、海外旅行保険には加入するようにしてください。
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フィリピン留学に行く際の予防接種について、いかがだったでしょうか。
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